初代理事長のあいさつ

安全・安心な生活環境の確保を支援し
推進することが私たちの目的です。

初代理事長 大久保 昌一

初代理事長 大久保 昌一

人間にとって安全、安心な生活諸条件の確保が最も重要であり、基本的人権の確立にとって核心をなす事柄であります。この法人は、安心、安全な生活諸条件のうち、特に安全、安心な生活環境の確保を支援し推進することを目的としています。阪神淡路大震災は、安全神話に浸っていた社会に対して多くの教訓を与えましたが、安全、安心な生活環境の形成の維持のためには、以下のような条件の確保を示唆していたと思われます。

  • 01. 都市空間は緊急時の避難行動に際して分かり易い生活空間構成をもっていること、及び明確な避難ルートや避難拠点の効果的配置(レジビリティ)
  • 02. 住宅や公共施設等の耐震強度や耐火・防火性能などに余裕をもった設計や材料選択(リダンダンシー)
  • 03. 主要なライフライン系統の複数化(リデュプリケーション)
  • 04. 施設・設備等の機能発動条件や機能操作の容易性の確保(ドシリティ)
  • 05. 危険物施設の安全確保のための安全装置の整備(フェイルセイフ)
  • 06. 住宅・公共施設等の定期的な耐震診断と耐震改修(セルフ・インスペクション)
  • 07. 雨水の地下貯蔵、緊急時食料、医薬品、防火用具等の貯蔵(セルフ・コンテインド)
  • 08. 自治体、各種機関や団体等連携による緊急時における相互支援体制の確立(リスク・シェアリング)
  • 09. 一元的かつ総合的な危機管理体制の確立(エマージェンシー・マネージメント)
  • 10. 緊急時において相互に支え合い助け合う近隣社会の形成(セーフティ・コミュニティ)
  • 11. NPO による幅広い組織的で持続的な救援活動や生活支援活動(コンミュナル・サポート)
  • 12. 定期的な防災訓練や災害救援活動訓練の実施(ピアリアディック・トレーニング)

この法人は、こうした諸条件のうち特に第6の自己点検のシステムの充実を他の諸条件との関連において充実することを目的としています。それゆえ、耐震診断の定期的実施と耐震改修の早期的実施を行うことを中心としつつ、関連技術の革新・改良や住民意識の啓発等を実施することとしています。「災害は忘れたときにやってくる」といわれますが、防災への持続的な取り組みこそが、真の安全と安心を約束することができると考えられます。

簡単ではありますが、以上をもって理事長就任のご挨拶とさせて頂きます。

平成16年1月17日
大久保 昌一

〇大久保 昌一のご紹介
  • 大阪大学 名誉教授
  • (財)大阪地域振興調査会理事長、豊中市政研究所理事長
  • NPO法人資源リサイクルシステムセンター理事長
  • NPO法人エコデザインネットワーク理事長
  • (社)大阪問題総合研究所理事長
  • 関西文化学術研究都市 学術委員会顧問を歴任されました。
  • 2002年日本都市計画学会功績賞受賞、2003年日本計画行政学会論説賞受賞、その他多数受賞されました。

著書等に『都市論の脱構築』(学芸出版)、『空間計画ノート』(清文社)、『苦悩する都市再開発』(偏著都市文化社)、『有機的都市論』(都市文化社)、『地価と都市計画』(学芸出版社)、『環境  計画叢書』全五巻(監訳、清文社)、その他多数。

大久保 昌一先生は、平成26年8月21日に享年88歳にて永眠されました。